有松ゼミナール VOL.4

テーマ:「有松の美」

《公益信託大成建設自然・歴史環境基金2016年度助成事業》

大都市における街道沿いの町並みとして初めて、2016年7月に文化庁から重要伝統的建造物群保存地区に選定された名古屋市緑区有松の地で、空き家となっていた築約170年の古民家をカフェに再生するにあたり、照明の計画と作成は、設計を担当された野口和樹氏と山口ゆずみ氏の監修のもと、名古屋工業大学の夏目研究室の女子学生が進めていきました。
まずは旧竹田家はなれを、名古屋市登録地域建造物資産に申請して、2016年8月25日に第150号に登録されました。10月には、有松の絞りを牽引している「久野染工場」を訪れて、伝統工芸士の久野剛資氏より、有松鳴海絞りの歴史や工程のお話をお聞きして、自ら伝統工芸の有松鳴海絞りを体験しました。11月から施工に入るにあたり、何度も現場で打合せを重ねました。
また、久野染工場にも訪れて素材を選びました。大正期の建物と思われていましたが、工事を進めていくにあたり、『弘化三(1846)年』と書かれた畳の裏板がみつかり、調べていくと有松絞りの開祖・竹田庄九郎家住宅の一部である事がわかりました。有松に現存する建物で、2番目に古い建物です。
施工後は、吹き抜けを彩る有松絞りのモダンなペンダント照明は、カフェのお客様にも好評で、話題になっています。そして、これからの有松の観光の新名所、そして重伝建の有松のまちづくりの拠点として、この古民家カフェが大きな役割を果たしていきそうです。

2017年3月16日に「有松ゼミナールVOL.4」は「有松の美」をテーマに、旧竹田家はなれのライブラリーカフェ「庄九郎」でオープン後、初めて開催いたしました。設計担当の野口和樹氏と構造設計担当の猪飼幸雄氏による報告。そして、照明担当の名古屋工業大学の夏目研究室の重永恵実氏、野村亜紀氏、平林永里加氏を中心に、パネルディスカッションを開催いたしました。重要伝統的建造物群保存地区に選定された今後の有松の「まちづくりの方向性」と「より具体的な活用」を考える機会となりました。参加者30名。また、監修:野口和樹氏と山口ゆずみ氏、素材提供:久野剛資氏、企画&製作:名古屋工業大学夏目研究室の有松鳴海絞りの照明器具・ランプシェードが、お披露目されました。

開催概要

日時

2017年3月16日(木)

会場

竹田家はなれ・ライブラリーカフェ「庄九郎」

主催

NPOコンソーシアム有松

内容

講演会 14:00〜15:00

講師
野口和樹氏(一級建築士、(有)野口良一設計事務所・代表取締役)
猪飼幸雄氏(一級建築士、構造一級建築士、猪飼建築設計事務所・代表)

パネルディスカッション 15:00〜16:00

司会
山口ゆずみ氏(コンソーシアム有松・事務局長)

パネリスト
重永恵実氏、野村亜希氏、平林永里加氏(名古屋工業大学建築デザイン工学科4年、夏目欣昇研究室)
野口和樹氏(一級建築士、(有)野口良一設計事務所・代表取締役)
猪飼幸雄氏(一級建築士、構造一級建築士、猪飼建築設計事務所・代表) 

懇親会 17:00~

会場:有松絞り・ライブラリーカフェ「庄九郎」
参加費:2,000円

ライブラリーカフェ「庄九郎」は、江戸時代からの町並みが残る重伝建(重要伝統的建造物保存地区)の緑区有松で「有松絞り」の開祖「竹田庄九郎」の名前を引き継いで、伝統的な茶室を保存しながら、有松絞りの魅力を発信する場所として、2017年2月にオープン致しました。